105 最初から決められていれば

最初から決められていればよかったのに。こうしてさえいればいいということをやっていたかったのに。それなのに、私達が生きるのは決めるだけのためではない。決めるためにたくさんの時間を使って、吟味して、決められず死んだとしても、構わない。正解と不正解を選り分けるために生命があるわけではない。決められなかった時間のぶん、分からなかった時間のぶん、それを財産にすることができる。このことが分かったのを幸福に思う。分からなかったことが分かるようになってくる、それはとても幸せなことだけれども、分からなかった時間そのものも幸せな財産と思えるようになってください。私達は正解を導こうとしているわけではないのです。どんどん物事がわかるようになって、どんどん多層の幸せを感じられるようになっていく、それもより多くの人がそうなっていく、それを言葉を変えて言えば正解というのです。