104 水彩

混同しないという練習をしよう。違う色の絵の具どうしが溶けて混ざってしまうように、自分の色がおかしくなってしまっていたみたい。たくさんの色に囲まれて、わたしは、水に溶けるみたいにあやふやになって、薄くなって、それを取り戻そうとしては、ずいぶん攻撃的な勢いで、壁をつくった。もっと柔らかく、透明な壁を手に入れた。水晶玉のようなジェルボールのような美しい膜だ。これでぴったり覆われて護られる。苦しくないし気持ちがいい。アクアリウムみたいに固められて、これでもう溶け出さない。