60 愛する人のひとりへの手紙、祈り、その4

ずっと無視し続けてきた子へ。きつくあたることになってしまった子へ。
冷たい態度であたったのはあなたのことが嫌いだからじゃなかった。誤解をうんでしまったことについてはごめんなさい。とにかく守らなければいけないと思って必死になっていた。激しく傷ついたり、バラバラに壊れてしまうことが怖かった。警戒するあまり気が立ってしまったのだと思う。
子供が危ないことをしようとしたら母が強く叱ることはある。それは愛であるとはいえ、時には我が子に対しても、憎いとか、嫌いとか、思ったりすることもあるよね。それは思ってもいい、ただ、結局はずっと繋がっているから、本当の敵にはなりようがないんだよ…。
なんていうか、手におえなくって。私はずっといっぱいいっぱいで。多分、それはお互いに。外の世界のことが大変で。全部わけもわからなかったし。誰かの言うことをきくことで、愛の補給をされないといけない、やっていかれないと思った。とにかく、もらわないといけない、と、思った。パンを得るために、じゃないけど、とにかく必死にやらないといけないと。結局、誰か他人のことはスパっと切り捨てられたとしても、神様のことは切ることができないと思った。神様のことは、ひとりになっても、どこへ行っても何をしても、ついてまわることだった。だから24時間ずっと息をする間もなかった。「もっともらわないといけない」と、亡霊がついてまわった。
一体、何の亡霊だったか。一体、だれがつくった神だったんだろう。もう分からないけれども。
夢から醒めたいと思う。
夢から醒めると、もらわなくてもよくなるらしい。いや、そもそも最初から、もらわなくてもやっていけたんだ。乱雑な言い方をするけど、「神はずっとくれる」から。
「くれたり、くれなかったりする」のは、フェイクだよね。まやかしだよね。もう、やかましいわな。拒否してかまわないよ。そうしたいなら、腹が立つのなら、かまわないよ。そんならいりません、と。ギブアンドテイクはやめましょう。
何があっても話きくから大丈夫よ。
話せなくっても大丈夫よ。
きいているから。