61 三人娘との対話

その日の客は、小柄な若い女の三人組。

顔は似ていないが、姉妹のような親密さが見て取れた。

一番の問題児なのが眼力のはっきりした頑固な感じの髪が長めの女。おそらく次女だと思う。きょうだいには心を開いているものの、それ以外の他人のことは全部敵視して睨みつける。

彼女は彼女にとっての当然の正当性でもって他人を攻撃する。少しでも反対するそぶりをする者はすぐに敵と認識する。衝動的な正義感にいつも駆り立てられて、一触即発の状態で生きている。

ある意味で三人の中でも実行役にあたるのがこの次女である。

じゃ、参謀は誰かというと、長女。

三人の中で一番頭脳的に賢く、相手の手をよむこともできる。大体寡黙にじっとこちらの様子を伺っている。あまり特徴のない顔をしているが、なんとなく口元がずっと薄ら笑っている感じ。それ以上笑うことはない。攻撃性はないが、皮肉っぽい。何を考えているのか分からないのは、悟られないようにしているのだと思われる。

おそらくこの子とまともに対話するのが一番大変だろう。そもそも非常に疑い深く、人を小馬鹿にしていて、何を言っても取り合ってくれないところがあるから。

そんな長女とはいえ、次女と三女に対しては仲間意識が強いみたいだ。

狂暴で行動的な次女は一緒にいて爽快だし、末っ子の三女は心の支えになってくれる。

そんな三女は大人しく控えめな性格で優しい子。喧嘩腰なところもないし、対話するのに厄介な感じはしない。ただ、自分で考える力が少し弱くて、上の二人が居ないと自分だけでは何もできないと思っている。依存的。大体、長女の意見に合わせている。

彼女たちの共通概念は、外部的な異物の排除、異教徒の駆逐と浄化、彼女たちが信じるところの理想郷の実現(どんな強硬手段をもってしても)。まぁ、かなり危ない感じ。手段も発想も攻撃的だし。ただ、こちらには、それを危ないよと伝える方法もない。聞き入れてもらえない。

なぜ、そんな行動に出るのかというと。「汚れた血を綺麗にしないといけない」らしい。

これは異教徒(?)というか、仲間ではない他人たちについてだけでなくて、どうやら彼女たちにも当てはまるようだ。人類全員の血を綺麗にする。人類補完計画みたいな感じか。

根本的には「私たちの血が汚れている」という恐怖感に駆り立てられているようであった。原罪とか言う人たちと同じこと。既視感がすごい。

対話してみた感じ、次女については、問題児ではあるものの素直なところもあるので、猛烈な感情的な揺れを伴ったとしても、最終的には人の言うことを聞き入れるようだ。

三女も、流されやすいだけで、柔らかな性格の子だし、本当にこれでいいのかなと、心の中の迷いもあるようなので、説得しやすいほうだと思われる。

結局、一番難しいのが長女ちゃんのようだ。そもそも絶対に他人を信用しないぞ、という、心の扉が頑丈すぎる。それから、皮肉的に曲げて物事を捉えすぎなんだよね。

これはどうしたものか、と。

 

たぶん続く。