118 夜を越えれるか

もういいかなぁ、と思うことが増えた。心地いい諦めのような、穏やかな満足のような、音もなく静かに着地したような感覚が、時々顔を覗かせるように、そよ風のように香ってくる。朝を待つことは難しいままだけれども、あれほど欲しかった"真ん中"の気配がしている。
何かをすることはまだ難しい。自分であることはもっと難しい。誰にとっても、あまりにも難しいのだ。この世界で人生を構築するという難解な仕事の真っ最中に、他人に的確な助言を施す余裕のある人間はいないだろう。だから私達は先輩に、上位者に、神に尋ねなければならない。それは書物の中にいることもあれば、古来の遺物や遺作の中にいることもある。今この瞬間、慰めの形をとって表れることもある。いずれにせよ、未熟者の私達は、賢者たちからの協力を得られなければ、自分のことをもすぐ見失ってしまうだろう。