28 私が機械だった頃のこと

みんなならきっとよろこぶのだろう、そういうことをやっていきたいよ。

自分がうれしいことをした先にみんながよろこぶのも確かだろうが、これはお互いに行き来する仕組みになっている。わたしは、わたしが快適なことを探して、それと同時に、みんながよろこび、ほんとうに心動いてくれることたちを探している。どっちかが枯渇しては、おかしくなる。

ねえ、わたしは、きみに、もっと、わたしのことなんて考えないでほしい。それを伝えたところで、きみは、もっと、わたしに、きみのことを考えないでほしい。そうやって「はね返って」くるのだろう。
たとえば、自分を大事にしてねと、声をかける。本当はそう言う自分こそが、言われたいくせに。他の魂のなかに自分を投影するんじゃないよ。もう、鏡うつしの無限につづくような世界から出て、すべてを最初に戻したら。
愛しているから、愛しているではいけないのですか。
ねえ、どんな時空にいたって大丈夫なんだよ。
私はいまここにいるけど、あのときのあの星のあの子とも、そのときの地底深くのなにかとも話ができるよ。いや、送ることができて、受け取ることができるよ。送信機になれるよ。送信機になりたいよ。
いつか思ったね、わたしは送信機能がこわれちゃったんだって。でも大丈夫、どんな機能が壊れても、この世界では再生するのだから。
再生することはフシギで、オモシロイ設定で、激レアだ、だから笑ってみて。それはそれで楽しんでみて。結局ぜんぶ完全に戻ってしまうのだから。不完全のことが少し懐かしくも思うだろう。