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そもそも、行き倒れだの、ホームレスだの、乞食だの簡単にいうが、そこまで行くあいだになぜ他人が登場しないのか。ありとあらゆる他の手段が登場しないのか。助けてもらうことはそれほどにいけないことなのか。そんなことがあってはいけないと思うほどに、みんなより自分のほうが上じゃなきゃならないと思っている。やっぱり全員を見下さなければならなくなってしまう。
命を救ってもらったらだめかな。お金やものをもらったらだめかな。やさしい言葉をもらったらだめなのかな。逆じゃなきゃ、こちらがしてやるのでなきゃと思うんだろうか。そんな奉仕はもう奉仕ではないんだ。こんな繰り返しで私の腹の穴は満たされないんだ。本当はずっとお腹が空いていた。私がパンを分け与えるとき、与えているのは恨み節、呪いの眼、羨ましさだ。だって私もこんなにお腹が空いているんだから。つらいんだ。悲しいんだから。だからこそ許せない、受け取ってもらえないことなど、許せない。パンというのは時に愛嬌や笑顔だ、励ます言葉だ、もしくは身体そのものだ。なんであってもいいが、欲しいのに要らないなどと言うんじゃあない。本当は呪いを投げつけているだけじゃないか、片付けなくちゃ始まらない。まずはそういうところから組み直さないといけない。