そのヒメは、燭台を持って、降りていった。
真っ暗く、光のない岩場だった。
ヒメはひとりで下った。ずっとずっと奥地まで、深く深く下った。
どのくらい深いところまで来たか、分からなくなったころ、底にあたった。
光はもう、はるか断崖絶壁の、上の方に星のように見えた。
そのヒメは、来た道をまた戻ることにした。
崖にしがみつき、登ることはできないが、来た道をしずかに辿ることができた。
ヒメは確認した。
どう周り、どう掴み、どこを登れば、上がって行けるのか。
少しでも足がかりがないか、低くなっているところはないか。
順を辿り、ひとつひとつ、魂に刻むように確認した。
ヒメはひとりで登った。
誰も連れてくることはできなかった。
ヒメは星までの地図を描き、
束の間の休息をして、
次には祈り始めた。
大きな大きな力が必要だった。
彼の脚に力を。
あの子の目に光を。
ヒメは時に降る。ヒメは時に登る。
しかしてヒメは祈る。
いくらでも、祈る。