67 水晶のひみつ

不安なのかな?

もう少し、
もう少しで着地できるはず…。

着地の瞬間が一番おそろしい。

ずっと飛んでいられれば楽ちんなのに。

初めて飛ぶ瞬間と同じように、
降り立つときって大変だ。


豊かさ、は、感じ方の尺度だ。
一文無しでも関係がない。

どんなに金銭をかさ張らせても、心の貧相な人ばかりだ。


まだまだ世界は鮮やかに、色の数が増えて感じられる。
もっともっとフォーカスできるレンズに取り替えたときみたいに…。


近しくなってもいいかな。

もうあちらこちら移動しなくていいよね。
ちょっとそわそわするけど、
ここにいるままで。

ディープな光が降りる。
身体をきちんと巡る。

光は液体のように…。

光は充ちる。
身体の中は、水だ。
余すところがない。

私は水になりたい、と思う。
でも、もう水だ。
水みたいなものだ。

それで、ずっと流れている。
水流の音がきこえる。波の音がきこえる。
ざわざわ、ざわざわと。
そりゃあ、涙も落ちる。

波は砂のようでもある。
砂はよく見たらクリスタルだった。
クリスタルは水の欠片だったんだ。
私は水晶のひみつを知った。