76 三人娘との対話 2

あの長女ちゃんの中には
立てこもり犯みたいな子がいた
一体どれくらい長い間
頑固として
そこにいるのか、
わからないけれども

話しかけることをやめない
ずっと届いているはずだから

ねえ
ずっと隣りにいるから
あなたの話を
いつでも聴く
なんでも聴く
それで、
絶対に責めない
受け止めるよ。

指導はしないよ
ただ聴くよ
いくらでも。

ひとつ、ひとつ
うろこが剥がれ
一滴ずつ雫が落ちるように
あのね、
もしかしたら、
もしかしたら、
嫌いだった。
つらかった。
疲れてしまった。
悲しかった。
楽しかった。
好きだった。

もしかしたら、
あのときも。
このときも。

ひとつずつ、ただ、聴いている。
いちいち、それが何とも言わない。
その時は嵐のように激しいと感じた感情でも
草花が風で揺れるくらいの、
さざ波が弾けるくらいのことだった。
高いところから低いところへ
右ならば右回転
左ならば左回転で
流れる
それくらいの事象だった。