20 怒ってる?

いつも大体怒っているから、私は、申し訳なさそうにして、脅え、遠慮しなくちゃならなかった。何をすれば怒られないのかが分からなかった。いつも顔色を伺っていた。
私は楽しいことをたくさんしたり、良いことがあっても嬉しいと思ってはいけなかった。快適になってはいけなかった。睨みつけられ、怒られた。そうしているうち、この世界に慣れてしまった。誰も怒らない世界なんてあるだろうか?そんなことは想像もできなくなった。
ほら、今も怒っている?
しかしそこには誰もいなかった。いたのは愛情深い彼らだけだった。それは上辺だけじゃなく、隠しているわけでもなく、騙しているわけでもなく、心の奥底を探しても、愛しか出てこないような、本当の光の民たちだった。
私は慌てて、怒っている人を探した。いつだって必ずいた。いないはずがない…。こんなことは信じられない。
ねえ、怒ってる?
みんなが首を振る。
誰か怒ってたよね。
首を振る。「そんな人はいたこともない」。
「随分昔にはいたかもしれない。でもずっと前にいなくなった」。

私がいるこの世界は?

頭が真っ白だ。