10 6月の雨

急に雨が降るように一晩泣いても
不幸なわけじゃありません。
悲しいだけで。
悲しいことにも簡単な理由はありません。
それはきっと通り雨です。
雲はとどまらず、空は模様を変える。
たまに雨が降ったり、嵐になったり、暑くも寒くもなる。
私はそれを眺めている。幸福感とともに。
生きているね。
生きてきたから。
それは富そのもの。

ある子が言ってくれた
生きてくださいという一言が
一滴のしずくのように
胸にぽちゃんと落ちた。
誰に言われてもそう思うわけじゃないの。
言葉は、言葉の中にはないからね。
ありがとうね。

生きてくださいね。

ただ今この一瞬
あなたが
生きていくことを選択していくこと
それがただ尊いこと。

上手くは生きられない。
高貴にも生きられない。
華やかにも力強くも明るくも生きられないとしても。
それでもいいからね。
そんなことはどうでもいいんだ。
ただ愛しいと思っているだけだよ。
それは幾年昔から、これからも、変わらない。

あなたのことが大事です。
あなたのことが仲間です。

思い出して。
大丈夫。